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対応の大原則:「どう生きてもいい、誰を好きになってもいい、変わってもいい」
【Q1】ホモ、オカマ、と言って友だちをからかう子がいます。どう指導すべきでしょうか?
使う言葉もよくないですが、からかうこと自体がよくないですよね。いきなり叱りつけるのではなく「なんでそんなこと言うの?」「ホモってどういう意味?」など、「なぜ」を聞いていくとよいかもしれません。同時にそう言われて傷つく人がいること、傷つけるために言うのはよくないこと、そして正しい言葉も合わせて伝えるといいかもしれません。
【Q2】同性が好きだという生徒がいます。性同一性障害でしょうか?
性同一性障害でも異性が好きだったり、同性が好きだったり、それは人それぞれです。性同一性障害は自分の性の自覚の問題、同性愛は好きになる相手の性別の問題です。話を混同しないようにしましょう。
【Q3】とても女らしい男子生徒がおり、性同一性障害ではないかと噂されています。いじめられないか心配です。
確かに心配ですね。クラスで女らしさ、男らしさについて授業をしてみてはどうでしょう。女の子でも活発な子もいるし、男の子でも静かな子はいる、いろんな子がいて当然ということをクラスの全員が知っておけばいじめは起きにくいと思います。
【Q4】教師20年目だけどLGBTの生徒から相談されたことがありません。教師として信頼されていないのでしょうか?
LGBTの当事者で学校の先生に言う人は、そんなにいないと思います。今でこそ認知度があがってきたので在学中でも言う人がでてきましたが、多くは言わないまま卒業すると思います。それは先生を信頼していないというわけではなく、「あと数年の我慢だし」「必要な情報は手に入っているし」「親友にだけ知ってもらえていたらいいや」などなど、先生に言わなくても暮らせているということかもしれません。しかし、言ってこないけれどあなたの日頃の発言に希望や安堵を見出している生徒もいるかもしれませんので、クラスに必ずいるという視点を忘れないでください。
【Q5】性同一性障害の生徒がいるので制服を男女どちらでも着てもいいように校則を変えたいのですが保守的な管理職に阻まれています。どうしたらいいでしょうか?
管理職の他にも地域やPTAなどの反対もあるかもしれません。2011年4月に文科省が出した「性別に違和感のある生徒へ配慮する」ようにという通達が出たのでそれを提示することが効果的かもしれません。LGBTについての職員向け・保護者向けの研修も有効かもしれません。もし努力が実らず校則を改定できなかったとしても、そうやっていろいろと自分たちが動いたということを生徒がわかるようにしてほしいと思います。結果がダメでも、取り組んでくれた先生がいたという事実は生徒の励みになりますし、それを知った生徒が今度は自分たちで動き始めるかもしれません。
【Q6】当事者の生徒がみんなの前でカミングアウトしたいと言っています。(汗)
まずよくその生徒が何を目的としていて、言った後、何を期待しているのかを聞いていっしょに整理してください。その際、メリットとともにデメリットも提示してください。例えば、いじめられたりセクハラをされるかもしれないこと、希望の性別での待遇を学校が全て叶えることは難しいこと、進学・就職先でも交渉が必要になってくることなどです。デメリットを踏まえてそれでも決行するようでしたらサポートしてください。そのカムアウトの意味がきちんと伝わるように、教員、学生ともに事前に学習できたらベストだと思います。
【Q7】女子生徒のズボンには抵抗はありませんが、男性生徒がスカートをはくのは不評です。どうしたらいいのでしょうか。
どうもしない、とお答えするしかないですが、大変よくある発言です。逆に、なぜ男がスカートをはいてはいけないのかという質問をすると、突き詰めたらその人の男性観の問題となります。「女らしい男は嫌い」(世間も自分と同じ考えのはず)という自分の好みを校則に反映させることについて、どう考えるべきか議論してもらうとよいかもしれません。
【Q8】「ゲイを気持ち悪いと思うのは個人の自由だ、気持ちを否定されたくない」と言う生徒がいます。
意見と偏見は違います。よく知らないのに悪く思ったり言ったりすることを偏見と言います。ゲイの友達が10人いて、その内5人とは5年以上の付き合いがある人が「ゲイきもい」と言うならそれは意見だと思います。よく知り合ってそう思うのであれば、それは仕方ありません。しかし、ひとりもゲイの知り合いがいるわけでもなく、テレビで見たことがあるだけの人が言うのであればそれは偏見です。「気持ち」と言い換えて偏見を正当化することはできません。
【Q9】女の子同士で付き合っているのではないかと思われる生徒がいます。友情なのでしょうか、それともレズビアンなのでしょうか?
どちらでもかまいません。人には様々な感情、関係性があるにも関わらず、恋愛感情と友情の二つしか分類がないことの方が不自然だと思いませんか。周囲の大人ができることは「あなたも将来結婚するだろうけど」「夫と子どもがいてこそ女の幸せ」など異性愛者として家族を持つことのみが人の幸せかのような人生観を押し付けないようにすることだと思います。
【Q10】生徒から性別を変えたいと相談をされましたが家が厳しく家族には言えないとのこと。保護者に言うべきでしょうか?
大変難しい問題です。一概には言えませんが、小学生の場合は「先生から伝えてみようか?」と生徒と相談してみてください。どうしても親に言いたくない場合は生徒の意見を尊重しましょう。未成年の場合、勘当されて家から追い出されてしまうと生きるすべがありません。その点についても考慮して、生徒が生き延びられる方法を検討してください。当事者グループに相談して経験談を聞いたり助言を求めるのもいいかもしれません。
【Q11】ゲイの教員です。職場でカムアウトしたいのですがクビにされたり、嫌がらせをされるかもと躊躇しています。
確かにカミングアウトをすると職場でいじめがおきたり、解雇に追いやられるケースがあります。【Q6】で生徒がカミングアウトする時と同じことになりますが、メリット・デメリットをよく検討して行ってください。しかし先生がカミングアウトすることは、生徒にとってはとても勇気づけられることです。LGBTの生徒に対してだけではなく、多くの生徒がいろんな大人がいること、LGBTでも教員になれることを伝えられると思います。しかし職を失ってしまっては元も子もありませんので十分検討されることをおすすめします。
【Q12】同僚の教師がとても保守的で、LGBTに差別的な発言を繰り返し、困っています。
まずはその同僚の発するホモネタや中傷に便乗しない、させないという断固とした態度を周囲の教員が徹底してほしいと思います。一度きりではなく定期的に研修をするなど粘り強く問題を提示し続けることで少しずつ変わってくるかもしれません。何より生徒への悪影響が心配されますので、その同僚がLGBTを否定的に言う以上に、肯定的なメッセージを生徒に発信し続ける必要があると思います。
★これらは2013年時点での案です。
常に状況は変化していきますので、対応方法もどんどん変わって行きます。いつまでもこれらの知識が正しいとはかぎりません。情報や変化に対して、常にアンテナをはっておいてほしいと思います。そして常に「これでいいのか、現状にあっているか」と振り返る姿勢を持っていただければと思います。
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